こんばんは、西島です。
HANAIプロダクションの通訳派遣。
有り難いことに、ご依頼も増えていて、今回もベテラン通訳士のHさんと一緒に結婚式に行ってきました。
依頼主は花嫁さん。
ろうの後輩が大阪から結婚式に参列するのに、通訳がいた方が楽しめるのではないか?と思い、インターネットで探して問い合わせをしてくれました。 最初、依頼主さんから「依頼は私からでも大丈夫ですか?他の通訳会社さんは、結婚式場か、ろう者本人からじゃないとダメと言われて」と、とても不安そう…。
HANAIプロダクションでは、細かいことは一切問いません。手話が必要であれば基本的には誰の依頼でも、どこへでも…。
よく聞く話ですが、他の通訳派遣会社は、色々と条件があったり、対応が良くなかったり、手話技術も問題ある事も多いみたいです。 以前と比べ、通訳派遣会社は増えています。ですが、まだまだ課題が多いのが現状。実際にろう者からも不満の声を聞きます。
花井代表も、困った事の経験があるそうです。 花井代表は、そんな経験も生かし、困っている人を助けたい…という気持ちから、HANAIプロダクション専属通訳派遣を立ち上げました。
そして、花井代表が選抜した通訳さんは、思いやりの気持ちを持っていること。手話の技術を日々磨いていること。相手の立場に立って考える事が当たり前になっていること。それを大切にしてくれる通訳さんばかりです。
式場に着き、受付を済ませ、時間まで待合室へ。
手話で雑談タイムです。 「来るときの行列、見た?何の店?」
「タピオカかな?」
「えっ!タピオカにあんなに並ぶの?大阪じゃあり得ない」
「タピオカ??」
「私も並ばない!人混みも苦手。」
「私は…並ぶかなぁ?人混みは苦手だけど気になるから。」
一対一ではなく、3人で同時にワイワイと話しますが、私以外の二人は手話に長けているので、すごく分かりやすい。
サークル等では、一対一の会話かスピーチの様な形でしか手話を使うことがなかったので、新鮮です。
通常の結婚式だと、手話台に配置されたり、立ち位置が決まっていますが、今回は全体に行う通訳とは違い、お一人のみに通訳を行いますので、挙式は一緒に参列し、披露宴では隣に座ります。
彼女は、普段大阪に住んでいるため、参列者は知らない人ばかり。
口話でコミュニケーションをとりますが、やはり聴者が複数になると、遠慮してしまうのか、フッと話から抜けてしまいますし、手話で私と喋った内容を、口話で別の方と話していると「ん?違うのに返事しちゃってる」なんてこともしばしば…。
手話もそうですが、口話は特に集中しないと、聞き逃して(見逃して)しまうんだなぁ、やっぱり手話が必要だな…と再確認しました。
私は今回、Hさんの通訳を学ばせてもらう目的もありましたので、ジーっと見ていると、表情豊かでわかりやすい。
新郎新婦、2人の紹介文をナレーションを聞きながらロールシフトを使って表現しています。
例えば、新婦さんは新郎に初めて会ったときに、「〇〇〇」と言われて「私とは真逆だな。真面目そうな人」と思った。というエピソードがありました。
この2人の言葉や気持ちを、身体がブレることなく真っ直ぐ向いていますが、確かに2人を演じているんです。
「真面目そうな男性」と「迷いながらも興味を持つ女性」に見えます。
別に大袈裟に何かをやっている訳ではないのに、別人格に見えるなんて、日本手話はやっぱり面白い!
手話でどんどん訳していきますが、彼女が不思議そうな顔をしたときに、ナレーションのスピードと全くの同時進行で、瞬時に「伝わっていないかな?」と判断して指文字に変えて伝え直しています。
テーブルは、ろうの彼女も全員が「はじめまして」ですが「私、大学の手話サークルだったの」とか「職場にろう者がいて、ちょっと教えてもらった事があるの」など、手話についての話もチラホラ。私はHANAIプロダクションのチラシを配りまくりたい気持ちを抑え(披露宴中は、さすがにダメだろ…と)披露宴終わってから、お渡しできました。
手話が当たり前の様に広がりますように!
私の「憧れの通訳士」Hさん。 Hさんは花井代表のレッスンに3年以上通っていたそうです。花井代表を「恩師」と言ってくれて、「あの時のレッスンがあったから、日本手話のレベルが上がり、伝える力がついた。ろうからも褒められる様になって、通訳の仕事も増えたよ」と。
そして、バリバリに活躍している今でも、Hさんは「花井先生のレッスンを受けて、もっと勉強したいし、しなきゃいけないんだけど三軒茶屋は遠いんだよねー」と。
花井先生もよく言っていますが「もっともっと良くする様に、日本手話の勉強に終わりはない。知れば知るほど面白くなる」その言葉が本当に自分にもリアルになり、頑張ろう!とモチベーションの上がった一日でした。
花嫁さん、優しいご主人の隣で、とっても綺麗でした。
ご夫婦お二人以外にも、ご両親までもが、私たちに「ありがとうございました。西島さんたちのおかげで、全員が楽しそうにしている姿を見ることができました」と。
こちらこそ、幸せな時間をありがとうございます。
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