高宮葵コラム #14
- HANAIプロダクション
- 2019年7月2日
- 読了時間: 3分
日本手話のレッスン中、なぜ声無しにするのか。
※ここで書いている“声”とは、
・日本語で喋ってしまうこと
・手話+音声日本語でコミュニケーションすること
両方の意味で書いています。
【自分のため】
声無しの方が、手話の上達が速いです。
手話+音声日本語で、通じたつもりになってしまうのが一番危険です〜!
自分の時間は有限なのだから、なるべく効率よく使った方がお得でしょ( ^ω^ )
①声を切る(声のボリュームを0にする)
②口を無意味にパクパクさせるのを止める
③頭の中から日本語を消す
このようにステップアップしていく際、②を徹底するのはしんどいです。
「別にパクパクしたくないのに勝手に動いてる〜」ってことが私もよくありましたし、気にするあまり、口を真一文字に結んでしまったり。
それを乗り越えても、③がさらに難関……。
でも、①は自分の心がけでどうとでもなりますよね?
これは、手話の上手い下手は関係ないはずです。
【クラスメイトのため】
レッスンに集中していても、日本語が聞こえてくるとどうしても気を取られてしまいます。
クラスメイトのためにも声無し推奨です!
皆さんに想像していただきたいのですが、
ここは中級クラス。
本来は声NGルールだけど、思わず声が出てしまうことがたまにある。
そこに、初級クラスから進級してきた新しい生徒が加わった。
手話の技術はまだまだで先輩たちと差があり、自分が言いたい事が伝わらないこともたまにある。
声を出してる先輩を見たら、どうですかね?
「私も声に頼っちゃおう」って思うかも。
「私の手話はまだまだで、相手に伝わらなくて迷惑をかけたくないから声出さなきゃ」って、(先輩たちにそんな気持ちは無かったとしても)圧力をかけてしまうかも。
「もう少し手話が上手くなったら声無しにする」
それ、誰が判断するんですか?
明確な基準があるんですか?
「そろそろ声無しにしなよ」って、どこかの聾者が言ってくれるんですか?
本来、自分の心がけでコントロールする(できる)はずの ①声を切る(声のボリュームを0にする) のハードルを、無駄に上げないでほしいと私は思うのです。
勇気が必要な行為にしてはいけない。
最初から全員声無しを当たり前にすれば、
「あの人、声無しで手話してるけど、自分が上手いと思ってるのかしら〜?」なんていう空気は生まれないと思うのですが、どうでしょう?
【マナー】
手話を学んでいる私たちがレッスン中に声を出すのは、聾の講師からしたら寂しい気持ちになります。
話している内容は聞こえなくても、声でコミュニケーションを取っているのは分かるものだそうですよ。
講師だけでなく、もしかしたらクラスメイトの中にも聞こえにくい人がいるかもしれません。
みんなに言ってないだけで、聴力が落ちてきて悩んでる人だっているかも。
でも声無しで手話でやり取りしていれば、教室の中では聞こえのレベルに関係なくフラットでいられます。
手話のスキルがまだまだだと、言いたいことが言えなくて苦しいですよね?
私も初心者だった頃、発表会の話し合いでA案とB案があり、
「〜の方がいい」という言い回しができなくて「B案は嫌だ」と表現してしまい、たしなめられた記憶があります(;ω;)
誤解されちゃったみたいで悲しかったけど、こういうもどかしい経験はとても貴重で、スキルアップした暁には、
「あの時、◯◯って表現したけど、本当は△△って言いたかったんです」と弁解する機会も回ってきます!
聾者は普段、聞こえる人に合わせる生活を余儀なくされているのですから、せめて手話のレッスンの数時間は、私たち聴者が歩み寄りましょうよ。
あまり難しく考えない方がいいです。
温泉に行ったら湯船にタオルを入れるのはNGですよね。
それと同じで、これはマナーです。
自分のためにもみんなのためにも、教室に入ったら音声は切りましょう。

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