盛彦コラム
盛彦コラム
2013/10/29
オレ高校まで、ずっとろう社会の中で生活をしてきた。
だから、いろいろと驚いたこと多かった。
祖母は健聴だったけど、両親がろうだから、聞こえない中での生活は当たり前のことだった。
電話も不思議なものだったし、なぜ皆は聴こえるのかもすごく不思議に思えた。
外の世界は健聴ばかりで、聴こえないことは珍しく、なぜ聞こえないのか不思議だっただろうな。
両親や友達からは、良いとは言えない健聴の話をされた。
健聴には騙されるなと。
聴こえないから、騙すことなど簡単なのだと。
ろう学校の先輩からも、健聴との恋愛はやめた方がいいよ!とアドバイスされた。
ろうは電話も出来ないし、他の誰かと電話しても内容確認が出来ないから、彼女が裏で何やってるかなんてわからないよ。
健聴は日本語対応手話するから疲れるし、コミュニケーションなんてとれないよ。
やめた方がいいぞ!
なんていう話題は、日常的だった。
本当か?
あるある、本当だよ!
…そんなイメージを吹き込まれて育った。
高校卒業後、サッカーの為にスポーツの世界に入ると、ろう者を見るのが初めてという人ばかりだった。
介護、福祉関係の人はろうへの認識はあるのかもしれないが、スポーツの世界では皆無…それが現実だった。
『愛してると言ってくれ』というドラマの影響などで、ろうでも、健聴者が読み取ることができるイメージが強いのか、ろうに対するいろいろなイメージを持たれていた。
テレビドラマと現実は違うのにだ。
『ろうって、食べること出来るの?』と、言われたこともあった。
なんだよ、それっっ!
かわいそうとか不便だねとか、劣っていると見下されることも日常的にたくさんあった。
聴こえないとそんなイメージなのかな…
ろうへの想像力足りないよ。
実際に会ってみて、判断するべきだよな。
イメージだけで決めつけないでほしい。
健聴だけじゃない、ろうも同じだよな。
勝手なイメージを押しつけるのは、良くない。
性格は一人一人違うのだから…。
真面目なやつもいれば不真面目なやつもいる。
みんなそれぞれなんだよ。
国際結婚もいろいろだよね。
国や文化がちがっても、
一番大切なのは、本人の気持ちだよ。
オレも健聴者に会う前とでは、イメージ変わったし、
健聴からも、ろうのイメージ変わったと言われる。
前に会ったろうは性格暗かったから、ろうは皆暗いのかと思ったら、違うんだね、と言われたこともあった。
性格だって一人一人違う、明るいやつだっていっぱいいるよ。
健聴だって、いろいろいるでしょ?
イメージにとらわれず、実際に会って、
自分で判断すること、それが一番だよ。
芸能人だって、作られたキャラってあるよね。
実際とは違うと思うよ。
周囲から、『ろうには出来ないから』とイメージづけられて育てられる。
そうすることによって…
はばたこうとする羽までも、もがれてしまう。
希望をもって伸びようとする心までも、つんでしまうんだよ。
それは本当に悲しく、もったいないことだよな。
そして言葉に翻弄された結果、人生まで左右されてしまうこともある。
そのことくらい怖いことってないよな。
もし違うことを言われて育てられてきたら、人生変わっていたかもしれない。
逆に、それをバネに壁を越えられることもあるし。
どちらがいいのかは、それはわからない。
オレさ、ろうだからムリだといろいろ言われてきた人生だった。
悔しくて、本当に悩んだ。
オレ、悩んだり気持ちが沈んだ時など
特にろうだからとか、弱いから、諦めなきゃいけないのかとか、本当に悔しくて、何度もくじけそうになったことがある。
本当に悔しい気持ちになるよ。
オレ自身って何だろう?
花井盛彦らしさだ。
ろうとして、ひとつにくくられるのはやっぱり嫌なんだよ。
だってさ、オレはオレなんだよ。
性格、考え方、気持ち…オレはオレ、
たった1人の人間だから。
そして、人として、心をもっと強くしていきたい。
結局、自分次第だよな。
目の前の壁を越えるのも、越えられないのも、自分の力にかかっている。
自分から見方を変えれば、見る人も変わってくれる。
周りがどう、ではなくて、自分自身が努力し、自然とまわりを変えていくこと、
それが一番大切なことだよな。
自分の可能性を信じ、努力し、目の前の壁を越えれば 、世界も広がり見え方も変わってくる。
自分自身が変わることで、不可能を可能にする事ができるはずだよ。
変えるのも変わるのもすべては、自分次第だ。